雪花草子

雪花草子 (新潮文庫)

雪花草子 (新潮文庫)

同性愛・近親相姦など様々なタブーを描く短編集。長野さんらしい艶やかな雰囲気のある文章に酔いしれながら読了。
「鬼茨」では残酷な若君の気まぐれに引き裂かれた朱央と小凜が切ない。夜叉に変化した小凜を受け入れた朱央の思いの深さにジーンときた。
「白薇童子」は不思議な読後感。夏至冬至の日だけ子を産むことができる体になる白薇童子。縁とは因果なものでまさか最後に自分の子供と契るとは…。同性愛と近親相姦による二重のタブーを犯しているにも関わらず、白薇童子の最後の微笑みの描写であまり重々しくない。その後の瑠璃若が気になる。
「螢火夜話」はとりかえばや物語がベースなのかな?今回の短編の中では個人的に一番の被害者は交換する前の蝉丸ではないかと。訳もわからずにいきなり存在を否定されるとかなんて残酷なんだろう。納得がいかないというか、なんというか。モヤモヤ感が残ってしまいました。