同期

同期 (講談社文庫)

同期 (講談社文庫)

真面目で優等生タイプの宇田川と飄々としていて謎が多い蘇我。タイトルの通り「同期」という間柄である二人、蘇我が突如懲戒免職になり消息不明になる。宇田川は蘇我の行方を追おうとするが、裏で大きな事件が待ち構えていた。
普段馴れ合うことはしないけど、お互いがピンチになった時は全力で助け合う姿が眩しい。特に宇田川は出世とかを気にするタイプだったのに事件を追いかけていく内に色々と麻痺したのか、後半は上司に堂々と反論していて頼もしい限りです。蘇我が形だけとはいえ懲戒免職になって表に出てこれない以上、これから出会うのが難しくなるのは寂しいですが無事で良かったです。これから死ぬかもしれない状況で声を聞きたかった相手が宇田川っていうのにもぐっときました。この二人の関係が好きです。
公安っていうのがどれだけ暗くて深い世界なのかがよくわかりました。真相がアメリカとか世界規模に話が大きくなった割りにはすっきりしない結末だったのが残念ですが、概ね面白かったです。宇田川は良い先輩たちに囲まれてますね、羨ましい。シリーズ化されてるそうなので次も読んでみたいです。