水車館の殺人

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

水車館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

館シリーズ第2弾。今回、探偵役の島田は犯人扱いされている失踪した友人の汚名をはらす為に水車館へと向かう。
事故の関係で皮膚が変色し、普段は仮面をかぶって過ごす藤沼紀一。亡き父の絵を目当てに一年に一回数人の客が館に集まる。そこで起きた過去の事件と島田がいる現在の時間軸が交互に展開されていく。仮面をかぶった館の主人というミステリアスな題材、そして41歳の藤沼紀一に対して19歳の幼い妻・由里絵。この設定がいかにもミステリらしくて読んでてわくわくした。
しかし始終ふわふわしている由里絵にはいらいらした。幼い頃から水車館に閉じ込められて外の世界を知らなかった由里絵。それが事件の原因になるとはな…。三田村の誘いにのったりなど自分の欲望には忠実で、魔性の女ですね。
トリックに関しては仮面をかぶった主人というキャラがいるからこそ成立するもの。巻き込まれた人間はたまったもんじゃない。犯人の独りよがりな感情に苛ついた。
ラストの「幻影群像」という絵はぞっとしました。