百瀬、こっち向いて

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

百瀬、こっちを向いて。 (祥伝社文庫)

昨日に引き続き恋愛短編集。映画が気になってたんですが見れなかったのでせめて原作を読みたいと思いまして。凄く良かったです。
表題作の「百瀬、こっち向いて」。主人公のノボルは自分に自信がない高校生。兄貴分の先輩に浮気の潔白を証明する為に疑われている相手である百瀬と付き合っているふりをしてくれ、と頼まれるが…。ノボルも辛いけど百瀬も辛い立場だな。宮崎先輩が結局のところ一番好きだったのは百瀬だけど、実家のお店を立て直す為に金持ちの神林先輩を選ぶしかなくて。だからといって神林先輩に魅力がないわけではなく、むしろ素直でとても良い人。宮崎先輩と百瀬の仲に気づきながらも表沙汰にしなかった包容さもある。だからこそ色々と難しい。落ちこぼれの自分が恋なんて出来ない、頑なになりながらも自分とは違う活発な百瀬を好きになっていくノボル。素敵な初恋だな。まだ友人関係みたいなので二人のその後も読んでみたいです。
「なみうちぎわ」は年下×年上の組み合わせが個人的にヒット。時間が経過しても変わらないものもある、一途に姫子を思い続けた小太郎が男前。「キャベツ畑に彼の声」は教師×生徒もの。この話はこれからって感じですね。これもその後が気になる~。「小梅が通る」はコメディ色が強くて、最後まで気づかない山本に突っ込みをしたい。気づいた時の反応を見てみたい(笑)