いなくなれ、群青

いなくなれ、群青 (新潮文庫)

いなくなれ、群青 (新潮文庫)

捨てられた人々の島、階段島。記憶の一部をなくしていることから何故階段島にいるのか、を知る者はこの島を作った魔女のみ。階段島で平和に暮らしていた七草はかつての友人である真辺由宇に再会してしまう…。
自分のなくしたものを見つければ階段島を出ることができる、そのルールは階段島のからくりの根本である。七草が魔女に正解をいったときになるほどな~と思いました。魔女の正体はトクメ先生かと思いきや結局は謎のまま。その方がミステリアスでこの物語の雰囲気にはあってますね。
自分の力で光輝く星であるピストルスター。七草にとって真辺は正にそんな存在で、離れててもいいからどこか遠くで輝いている真辺をそっと見守る。それが七草のスタンスだった。暗くていつも物事を悪い方向へと考えてしまう自分を卑下して、真辺の傍にいなくてもいいと思いながらも心の中で傍にいることを望んでしまった自分がいる。そして切り捨ててしまった自分がいる。それに気付いてやっと一歩踏み出したのが最後のシーンなのかもしれない。
爽やかな読み口で、ハッピーエンドで良かったです。