ヨリックの饗宴<★★★★☆>

ヨリックの饗宴 (文春文庫)

ヨリックの饗宴 (文春文庫)

安定の五條さん、ということでこの本も面白かったです。「ヨリック」という単語は何を意味するのか、行方不明になった兄も絡んできて和久田は知らない内に騒動に巻き込まれていく。
主人公の耀二、兄の栄一、兄の息子である裕之、この3人の関係がたまらなく萌える。正に血の繋がり故の関係といえる。栄一と裕之が耀二のことが大好きでついニヤニヤしてしまった。昔は尊敬できる兄だったのに、結婚して嫁や子供の裕之に乱暴して家を出ていってから兄を嫌いになった栄一。でも本当は父親が知らない内にしてしまった会社の不正を隠すために仕方なく好きでもない父の上司の娘と結婚した、全ては自分の家族を守るため。栄一にとっての家族とは母親と父親と弟である耀二だけ。その大切な人達をいくら血が繋がっているとはいえ、息子である裕之にすらとられたくないという栄一の思いは歪んでるように思えてとても純粋なんだなと。そんな兄を憎んだ時期もあったけどそれ以上に愛しいと思っている耀二、この二人の兄弟関係が個人的に好み。少しわだかまりがとけたようで良かったです。