煌夜祭

煌夜祭 (中公文庫)

煌夜祭 (中公文庫)

一言でいうのであればとても切ないお話。決してハッピーエンドではないのですが、ようやく巡り会えた二人の最後を思うと胸があたたかくなりました。個人的にハッピーエンド主義の私ですが、この結末は受け入れられる。
語り部たちによって語られる死の海に浮かぶ十八諸島を舞台にした物語。
人を食べ、そして日の光を浴びることのできない不老不死の「魔物」。だけど「魔物」にだって心はあるし、傷がつけば痛いと思う。自分という存在を呪いながらも愛する人を見つけた「魔物」であるエンとクォルンのもどかしいラブストーリーを主軸に語り部二人によって語られていく物語。最終的に全ての物語が重なっていく。
個人的にガヤンの義兄でありクォルンを養子にしたエナドが好きです。本当に懐の深い人だなと。こんな人ばかりだったらクォルンとエンが理想とする世界になったかもしれません。
とても美しい物語でした。